日本の地形はその殆どが急峻な山地で形成されておりますので、天空から降った雨や雪の大部分は地表を一気に駆け下って海に流れ込みます。 そして、その一部が樹木の表面を濡らし、木の葉に留まり、また一部が地中深く染み込んでゆき、長い年月をかけて砂や砂礫の層を幾重にも潜り抜け、粘土層や固い岩盤などの不透水層にぶつかっては滞留し、又、その層の上を流れてゆきます。その間、幾層もの地層が自然のフィルターになって、ろ過されると共に、一方では地層を移動中、または滞留している間に、土壌の中の多種微量のミネラル成分を溶かし込んでゆきます。これらの流れている地下水や滞留している地下水を汲み上げたり、または湧出している地下水を容器に詰めたものがミネラルウォーター商品なのです。ミネラルウ\ォーターが「天の恵み、大地の恵み、大自然の恵み」を頂いているといわれるのは、こういうことに由来するのです。
ミネラルウォーターは商品の特性上、気候・気象・地質・地形等自然の条件に強く関わりあっているので、世界各国によって考え方に差があり、品名表示の方法もそれぞれ異なっております。 日本では、現在のところ、農林水産省がミネラルウォーター類の品質表示ガイドライン(1990.3.30)を策定して、製造者の指導を行っております。そのガイドラインによりますと、ミネラルウォーター類(容器入り飲料水)は、ナチュラルウォーター・ナチュラルミネラルウォーター・ミネラルウォーター・ボトルドウォーターの四つの品目に分類されております。
世界各地で製品化されているミネラルウォーターは国によって製造方法が異なっています。中でも大きな違いは原水を殺菌する工程です。日本やアメリカなどでは原水を加熱殺菌またはそれと同等以上の効果をもつ方法で殺菌処理を行うことが前提になっていますが、これに対してヨーロッパ諸国では無殺菌・無除菌で製造されています。このことは水に対するそれぞれの国の考え方及び文化の違いに由来しております。 日本では、食品衛生法の中にミネラルウォーターの製造基準が定められており、その原水の基準に適合した安全な水を用いて、同じく食品衛生法で認められた製造設備で製造します。
水は化学構造上、アルコール等と同じように、物の香りや味を引き出す力があります。それもミネラルの少ない軟水の方が抽出する力が強いのです。ですから、コーヒー、紅茶、緑茶やウィスキーなど香りを大切にするものには、軟水を用いた方が美味しく戴けます。 ご飯なども、穀類のよい香りを引き出すために軟水が抜群です。お茶には人それぞれに苦味などの好みがあり、軟水では緑茶の渋み・苦味を楽しむことができますし、硬水ではよりマイルドで飲み易くなります。また、コーヒーの場合も、浅煎りのアメリカンでは軟水を用いることで、豆本来のよい香りとさっぱりとした味を楽しむことが出来ます。一方深煎りのエスプレッソでは、硬水を用いますと、渋みの成分がカルシウムなどに結びついて、苦味・渋みが除かれて、まろやかになり、コクが加わります。昆布やカツオの出し汁を取るときにも、軟水を使うと、グルタミン酸・イノシン酸などのうまみが抽出され易い。肉料理の場合、抽出力の強い軟水では、嫌な肉の臭みまで出てしまいます。 そこで、硬水を使いますと、肉の蛋白質とカルシウムが結合して、硬蛋白質(アク)として抜けて、いい味が出てきます。
水、又は、水に溶けた状態(水溶液)の酸性やアルカリ性を表わす尺度として、pHが用いられておりpHが7より低い水(液)は、酸性、7は中性、7より高い水(液)はアルカリ性と言われ人間の体液の多くはpH7前後となっています。 pH(ペーハー)と酸化還元電位(ORP)とは本質的に別な性質の物と言えます。